魂の在り方と意識・感覚

食料テロリズム ”生産性”とは一体なにか?

ヨーロッパの集約的家畜経済は畜牛の飼料を生産するために、ヨーロッパの面積の七倍にものぼる土地を、ヨーロッパ以外の他国に必要としている。飼料の生産に不可欠なこのような「影の農地」は、実際には資源の粗放な利用に他ならない。このような飼料生産システムは土地の節約にはならないが、生きていけないほど狭い空間に動物たちを詰め込む事で場所の節約をしているのだ。集約的家畜産業が常に問う効率の問題は「コストを最低にして利益を最大にするためには、どれだけ狭い空間にどれだけ多くの動物を詰め込む事ができるか」というものである。
相互補完的な農業システムでは、畜牛は人には食べる事ができないものを食べている。畜牛は作物の藁と耕作地の堺や牧草地に生える草を食べている。家畜産業のような競争的なモデルでは、家畜の集約的給餌用には人が消費するための穀物が振り向けられる。鶏肉1キログラムを生産するには、2キログラムの穀物が、豚肉1キログラムを生産するには4キログラムの穀物が、牛肉1キログラムを生産するには8キログラムの穀物が必要である。
牛は基本的に草食性である。牛が食べる植物は、4つの胃の中で一番大きい大一室であるこぶ胃で消化される。家畜産業は集約的な高タンパク濃縮飼料を与える事で牛乳と牛肉を増産してきたが、牛は粗飼料を必要をする生き物なので、こうした給餌の仕方は不適切である。粗飼料の給餌を回避するために家畜産業が開発してきた方法の一つが、プラスチック製の鍋洗い用のパッドを食べさせる事である。鍋洗いパッドは生涯に渡ってこぶ胃に残る。
必要な粗飼料を牛から奪うことは倫理に反する扱いを意味するだけではなく、濃縮資料は人が食べることのできる穀物から作られたものなので、牛に給餌するために必要な土地を減らすことにもならないのだる。協働的で統合的なシステムから競争的で断片化されたシステムへの転換は、希少な土地と穀物資源に余分な圧力を生み出す。それは持続不可能でもあり、動物に対する暴力である。そしてシステム全体を評価してみれば、それは生産性の低下を招来するのである。
 ー ヴァンダナ・シヴァ <食料テロリズム ー 多国籍企業はいかにして第三世界を飢えさせているか>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です