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翻訳<インド農業法案>新しい法案は農家のためじゃない?

インドでの農業に関する法律改正案

インドの農民デモの映像見ましたか?
私には日本の種苗法の問題を理解するだけでも難しいのに、インドの法案(とその背景&現状)について理解するのはもっと大変で、
常に最新の情報で何かシェアできるものがあれば訳したいなと思っていたけれど、うまくまとめられている記事や情報源を見つけられずにいました。

というわけで、結局少し古い、2020年9月に書かれた記事ですが、
インドの農民達が大規模なデモ活動を行なっている論点となっている改正案の内容について書かれているので自分用に翻訳しました。
ラフに訳しているので日本語の読みにくさはご容赦ください。

インド全土の農家の人達がデモに参加しているようなのですが、
ニュースで特に取り上げられる過激な抵抗運動をしているのはパンジャーブ地方の人達です。
1960年代から行われた緑の革命の被害が最も大きいと言われている地域の1つで、
緑の革命と逆を行く、環境(特に土地)を守る為に有機農業への転換に積極的に取り組んでいる地域でもあります。
(ただ、デモに参加している人達がどういう人達なのか詳細はわかっていません。パンジャーブの現状を伝えたかっただけです)
(→ 有機農家が多いと言われるウッタラカント州などは、緑の革命の影響が比較的少なく伝統的農法を続けていた人達が多かったのです。その為、その伝統をそのまま守ろう、という活動の他、今になって少し余裕が出て工業的農法(化学農法)に切り替えようとする農家さんもいます。
パンジャーブ、ハリヤナ、グジャラート州などは、積極的に農薬、化学肥料を導入した為、既に農地が砂漠化し収穫ができなくなってきている為に有機農業への切り替えによる環境保護、持続可能な農法を模索する動きが高まっています。)
↓(参考)

【翻訳】なぜ私たちが口にする食品が問題なのか。ヴァンダナ・シヴァ BBC-Travel 日本語訳

では、以下は、Outlook India “Explained: Are New Farm Bills Anti-Farmer? All You Need To Know“を日本語に訳したものです。

新しい農業法案は農家の為じゃない?あなたが知るべき全ての事。by ジョティカ・スード氏

2020年9月21日

日曜日、議会は3つの農業法案をRajya Sabha(インドの上院連邦議会)で通過させた。
3つの法案とは、

・ 農家の(エンパワメントと保護)金額保証と農業サービスに関する協定 の法案
・ エッシェンシャルコモディティ法 改正案
・ 農産物商取引(促進と簡略化)に関する法案

である。
これらは、ラーム・ナート・コービンド大統領の承認が取れ次第、立法化される。

モディ政権が農業改革として推し進めたこれらの法案は、いくつかの問題を抱えている。

まず、農業は各州政府の問題であり、中央政府は、口出しすべきでない領域に踏み込んだのである。
次に、インドの農民達はほとんどが平均1エーカー未満の農地を持つ小規模農家であり、これらの法律が企業やアグリビジネス企業に強みを与え、農民達はよりその脅威に晒される事になるという事が懸念されている。
法案は、いくつかの理由により、農民達を先導し、分断させた。

理解を深めるため、法案の中身と主要な論点をのぞいてみましょう。

1. 農家の(エンパワメントと保護)金額保証と農業サービスに関する協定に関する法案

これは、作物のタネをまく前の、農家と買い手の間の契約栽培協定の枠組みを描いている。
また、3つのレベルのメカニズムを規定した紛争解決の枠組みも示している。
3つのレベルとは、
 ー 調停委員会、
 ー Sub-divisional migistrate (準地域行政長官)、
 ー appellate Authority(上訴組織)
である。
しかし、論点は以下のものである。
a)この法律の下では、企業はどのような契約栽培であっても農家と書面による契約を交わす義務がない。
 その為、たとえ企業が契約内容を反故にしても、農家はその証明をする事ができない。

b)(交わされた)契約書を(裁判所に)登録していない企業に対する罰則が何も明記されていない。
 (例)昨年、グジャラート州のポテト農家達が大きな問題に直面しました。ペプシはポテト農家達が同じ品種の種を育てている事に対し有罪を訴えたのです。
農家団体はついに裁判所のドアをノックし、正義を勝ち取る為に世論に訴えなければなりませんでした。
    (役者注 * 私も住んでいただけでインドの法律には詳しくないですが、インドでは契約書は裁判所の承認をもらって有効になります。家の賃貸契約などでさえ、裁判所の印紙がないと無効です)
  
c)作物の価格は少なくともMSP(* インド政府によって定められている各作物の最低取引価格。後述)と同等かそれ以上でなければならないにも関わらず、新しい法案では作物の契約料金について規定していない。
 つまり、契約者あるいは企業が、いくらでも買い叩けるという事だ。
 インドでは、政府機関であるキサンマンディ(JAみたいな機関)にMSP(最低価格)で売る場合に比べても、契約栽培ではいつも農家に不利な非常に低い価格で取引されてきた。
 (* キサン=農家、マンディ=市場)

2. エッシェンシャル・コモディティ法(改正案)

 現法は、中央政府が非常時に食物の規制をしたり、法外な値段の上昇があった場合に(業者に)在庫制限を課する事ができると認めている。
しかし、改正案の問題は、以下のポイントだ。
a)今までは、農家、農業法人と生産者団体に対してだけは、作物の在庫保持、生産、販売に関しての制限は課せられなかった。
その為、彼らは意識的に、市場や購入者が良い値段をオファーしてくれる場合にのみ作物の販売するようにしていた。
この新しい法案から農家達はなんの新しい自由も得られないのだ。
それどころか、政府は今全ての食物をこのカテゴリー(エッシェンシャルコモディティ)から除外し、企業と中間業者達が好きなだけ食品の在庫を増やす事ができるようにしようとしている。

b)この改正案を通じて、政府は(作物の値段が法外に上がった時に業者が)在庫を抱える事を禁止する事のできる権限や、作物価格の高騰を調整する権限を手放そうとしている。
この法律によると、政府は前年より価格が50%高騰した場合にのみ干渉できる事になる。
腐りにくい物に関しては、前年より100%以上の価格上昇がある場合のみである。

3. 農産物商取引(促進と簡略化)に関する法案

 これは、APMC(農産物と家畜の市場委員会)の物理的な敷地を超えた、州内および州外との農作物の売買を認めている。
 しかし、今後は州(政府)はAPMC敷地外では、どんな市場手数料もセス(税金の一種)も課してはいけなくなる。

a)政府は、農家達は誰にでも売る事ができるようになると言っている。
 この法案の下では、アグリビジネス企業や中間業者たちが彼ら自身のマーケットを作り農家達から(直接)買う事ができるようになる。
しかし、最大の懸念は、APMCマーケットと他の業者たちの公平さが失われる事にある。APMCの外での取引きは実質的には規制されていないのだ。

b)農家達は政府が許可するなら、新しい形の農作物のマーケットを作る事を要求している。
 州政府や地方政府は、その機能を管理し規制する権限を与えられるべきである。
 しかし、この要求は無視されている。

c)現在のところ、もし農家達が、APMCマーケット内部に入り込んでいる企業や業者が不公平な事を行なっているように思う事があれば、彼らはその市場内にあるAPMC事務所の担当官に抗議する事ができる。
しかし、新しい法案では、どんな不正であったとしても、農家達はSub-divisional migistrate裁判所(地方裁判所のような位置付け?)へ行かなければいけなくなる。
裁判所への抗議申し立ては、継続的、経済的な制限もあり、到底小規模農家達にできる事ではない。


(翻訳ここまで)

訳者あとがき

エッセンシャル・コモディティ =「人に、社会にとって必要不可欠な物品」
エッセンシャル・コモディティを最低限保護するための法律で、食品をエッセンシャル・コモディティから取り除くのは、何の為なのでしょうか?(企業のため)
食品、って、一番のエッシェンシャルな物だと思うんだけどなぁ。

インドに住んでいるとある日突然紙幣が使えなくなったり、
詳細が決まらないまま税システムが変更されたり、色々な事に直面します。
それによってどれほどカオスな状態が生まれようと、
一貫した「トップダウン」により、皆文句を言いながらも決まった事には驚くほどの忍耐力と寛容さで従っているなぁという印象があります。

その代わり、決まるまでは積極的に議論している。
同僚とか近所の人達と、何気ない日々の中で「私はこう思う」「こういう所も問題なんだよ」なんて話しているのです。
だから、今こうして日本にいると、ニュースだけを読んでも全然「情報が入ってこないなぁ」と余計に感じます。(英語がスラスラ読める訳でもないという事もある)


インドって驚くほど野菜が安いです。
記事の中にMSP=最低取引(支援)価格 という単語が出てくるけれど、これまでもMSPが安すぎるという事がずっと問題になっていました。
農家さんは、キサン・マンディに作物を出荷するのですが、二足三文で買い叩かれるので、
有機農法で作った野菜などは、
付加価値をつけてキサン・マンディ以外の「付加価値をつけて買ってくれる業者」に売りたいと考えています。
しかし、一軒一軒の農家さんは小規模なので自分たちで購入者と交渉する程の余地がないんですね。
だから、地域の有機農家でグループを作り、共同で「キサン・マンディ」を通さずマーケットに出荷しよう、という取り組みが広がってきています。
それでも全てに付加価値をつけて売ることは難しいらしく、キサン・マンディにも卸しているという話を聞きました。

 ドゥーン・バリー地域の有機農家グループを訪問した時のランチ(おもてなし)の様子
私こう見えて真面目だからレクチャー中は一切写真撮ってなかった。笑

積極的に地域で有機農業に取り組み、販売先も持っているグループでさえこう言っていたのです。

なのに、この法案が通るとその最低価格すら無視できてしまい、
農作物がより酷い価格で買い叩かれるのではないか、と危惧されています。

何より、農作物が安く買い叩かれても、販売価格は下がりません。
企業や中間業者が「在庫量を調整できる」ようになるから。

日本はまだ、法改正に対して色々と「建前」を言っていますが、
インドはどうなんだろう?
この変更点に対してどんな「建前」があるのか、ちょっと気になります。


またわかりやすそうな記事があったら紹介したいと思います。




種苗法改正の裏にあるアグリビジネスの流れと食の支配について

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