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種苗法改正案について(動画文字起こし)

2020年5月に録画した種苗法改正案についての動画の文字起こしです。

種苗法と改正の理由

はい、こんにちは。みさです。
今日は、現在話題になっている種苗法の改正案について、何が問題になっているのか、関わる現在のアグリビジネスの状態、背景などを説明しながら、出来るだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

まず、現在国会で種苗法の改正案が審議されようとしています。

* 補足です。今国会では審議は見送られました。

で、改正されようとしているのは、この種苗法というものですね。
これは新しい品種の作物を作った時に、(作物だけじゃなくて花とかもですね)その新品種を作った育成者に種の知的財産権を与える、育成者権利を与える、という法律です。

現在の種苗法では、基本的に農家の自家増殖は認められています。
自家増殖というのは、種を植えて作物ができて、もう一度その作物から種をとる、「採種」だけではなくて、栄養繁殖という繁殖方法があります。増殖方法ですね。

これは、例えば、トマトは現在でも品目として自家増殖は認められていないと思うのですが、例えばトマトの苗を買ってきた時に、トマトの苗を一つだけ買ってきても
トマトの脇芽をとるんですね。
トマトを育てたことのある人はわかるかと思うんですけど、トマトって、一本丈夫な茎を育てるために、脇芽をとるんですけど、そのとった脇芽ってまた土に挿しておいたらまた根が生えて、そこから株ができるんですよ。

そういった脇芽差し。
バラとかもそうですね。

あと、接ぎ木で増やす。果物とか果樹類ですね。
あとは芋とか、そういうハーブとか、茎とか根っことか葉っぱなどから増殖できるものもたくさんありますよね。
そういう栄養繁殖を含んだ自家増殖が、現在基本的には認められているものが、原則禁止になります。

これは、育成者権利が登録された登録品種は一律、基本的に自家増殖禁止になります。

現行法でも例外的に自家増殖を認められていない品目があります。

なので、改正後でも結局、権利者が自家増殖OKですよっていったらできるわけだから、大して変わらないと言われたりもしますが、言葉の上では似たような条件でも、実際にこの言葉の変更によってどれほどの影響が現場に出てくるのか、私たちは机の上で御託を並べて議論するのではなく、実例をしっかりと調査し、色々な立場の人からの声を聞いた上で決める必要があると思います。

で、これだけ聞くと、もちろん育成者の権利は守られなきゃいけないから、それを増殖しちゃいけないというのは、当たり前なんじゃないかと思う方もいると思うんですよ。

でもこれは、そもそも種に知的財産権を与えるのか? 種は誰のものか?

これまで、100年、数百年、一千年以上、代々この土地で受け継がれてきた、そして農家さんたちが繋いできたその種という「命」を、今この段階で、その地で受け継がれてきたDNA、種というものを、新しく掛け合わせて作ったからといって、その種に、その種の、知的財産権が、誰に与えられるのか?というところから議論は国際的に盛んに行われています。

そして、種苗法、今問題になっているけど、
そもそも、2018年の4月に種子法という法律が廃止されてほぼ同時に、農業競争力強化支援法というのが発足しています。

この種子法というのは、戦後、優良な種子を国の公共財産として守るために制定されたものです。
ここで守っているのは、日本人の主食となる、こめ、大豆、麦です。
このコメ、大豆、麦は、日本人にとって、日本の食にとってとても大事なので、種子として守るために、国が各地方自治体に、守りなさいって命じているんですね。

で、農家っていうのは、作物を作る農家さんと、それからこういった種子を使って、例えばこの種子を増殖させてたりとか、種子をうまく発芽させて苗木を作ったりして売るっていう、
優良な種子を守り、種子をうまく農作物に転換させるためのプロフェッショナルな農家さんたちもいらっしゃいます。

こういった事を、国・地方自治体が税金で、お金を出して、私たちの食、主食はずっと守られてきてるんですね。

だから、お米のたねも麦のたねも大豆の種も、企業、一般メーカーが作った種よりもすごく安い値段で手に入る、それは回り回って消費者への安定した食の共有として、使われていますよね。

もちろん、ここでより美味しいものを作ろう、よりこの土地の気候に適した美味しい野菜、食物を作ろうという事で、品種改良とか開発もされてきていますけれど、それがメインの目的ではなくて、種子を安定的に農家に供給するために、ずっと守られてきたこの種子法が突然廃止されました。2018年。

そして、廃止されるとともに、農業競争力強化支援法という法律ができました。

で、これは何かというと、ここで公共団体が持っている種の知見、ここでいう知見ていうのは、知るに見るですね。
なので、これまで貯めてきた研究や種に関するデータとかを全て、この民間企業に公開しなさい、渡しなさいという法律です。

ちなみに、これを推し進めたのが、小泉進次郎議員です。

それでは議論されているポイントについて、特に法改正されても問題ないじゃないかと言われている方達の意見をまず取り上げたいと思うんですけど、

もともとこれは、農林水産省から、

登録品種(優良な品種)の国外流出を防ぐため

という目的で今回、改正案が提出されていますが、現行法の21条4項によって登録された品種の国外への輸出は禁止されています。

正確にいうと、登録された品種を購入して、消費以外の目的で輸出する事を禁止されています。

つまり、今話題になっているシャインマスカットを、フルーツ屋さん、果物屋さんで買って、それを国外に持ち出して自分で食べたり友達と食べたりすることは、問題ないです。
ただ、シャインマスカットの苗木を持ち出して、そして海外でそれを育てる、例えば登録品種の種を持ち出して国外でそれを育てるというのは、現行法で禁止されているので、これは、国内法で裁くことができます。

ただ、持ち出した本人が海外へ行ってしまったり、さらにその人が誰かにあげて、農家さんがその登録品種を育ててしまった場合、海外にいる人たちを裁く法律はありません。
それは、いくら種苗法を改正しても防ぐことはできません。

そもそも、この国外流出を防ぐためには、種苗法の改正ではなく、海外での登録、品種登録を進めること、
例えば、韓国で品種登録をする、また他の国、それぞれで種苗ほうのような法律があるので、その国で勝手に育てられないようにすることが大切です。

これは、農林水産省も以前、そのような回答をしています。

また、農林水産省ではすでに海外での知的財産権の取得などの支援を積極的に行なっています。

そうすると、すでにこの「国外流出を防ぐためにこの法律を改正するという」今回の改正案の理由は成り立たなくなります。

続きは、また頑張って文字起こしします!
興味のある方は、ぜひ動画をご覧ください!!ホワイトボードを使っているのでよりわかりやすいかと。





全ての日本人にとって大切な、食の根幹を守る種苗法。

賛成派の方も反対派の方もみんなで考えていきましょう!!