魂の在り方と意識・感覚

野生の勘

仏典第2結集の行われた地に立つアショーカ王の塔

インド旅の心得 「野性の勘」 編の記事を書こうと思ったのですが、書いてる時に思い出した事があったので、先にその話を。

今回、

ブッダガヤから、仏教8大聖地を反時計回りに回るルートを取りました。

早朝ブッダガヤを出て、
ラージギル(竹林精舎、霊鷲山など)から、
ナーランダ僧院で予想外にのんびりとしてしまい、
ヴァイシャーリーに着いたのは、夜の8時過ぎ。

遺跡とお寺と数件のホテル・ゲストハウスしかないらしく、
街灯もなく真っ暗。

「辺り一帯停電中かな?」
と最初は思っていたのですが、どうやら普通に明かりの少ない町みたい。

暗くてどこに建物があるかも見えないので、とりあえず通りかかったビハール州管轄のバンガローへ。
予算よりも高いのと、気分が滅入るような廃屋のイメージがする部屋だったので、他のゲストハウスも見ることにしました。

そのバンガローの他のもう少し綺麗な部屋は、到着してない予約客からキャンセルが確認できれば一つ空くかもしれないとのこと。
確認して、とお願いして他を見に行く。

暗すぎてどこにゲストハウスが立っているのかわからないので、
レストランに入り、「部屋を探してるんだけど・・・」というと、
数人のインド人が一斉に携帯電話で話し始めた。

*説明します。
ホテルなどに客連れて行き、その客がそこへ泊まると、ホテルから紹介料が貰えるので、地元ガイドさん達は我先にと近隣のホテル・ゲストハウスに電話をしてくれていたのです。

「OK、部屋あるよ、ついて来な。」

と誘導されて、20mほど離れたあるゲストハウスへ行きました。

タクシーを降りる時に、違和感と言い知れぬ恐怖が身体の内側から溢れてきて、
「ここ嫌だなぁ~。低級霊とかがいっぱいいそう~。」
と、(霊を見たことはないけれど)思いながら、中にはいる。

入口付近に、数人のインド人がたむろしてる。

*説明します。(笑)
インドでは、道に地元民がたむろしてること自体はなんら問題ありません。
マーケットでも住宅地でも、道とかで数人で座って談笑して過ごすのは、むしろ微笑ましい日常。

そのメンバーに「絶対に関わりたくない」という印象を持ちながら、
部屋を案内してくれる少年にも、
「この子、本当に人間かな?それとも幽霊かな?」
なんて変なことを思いつつ、

今回の旅のガイドをしてくれている友人に、
「私、もう嫌だ。違うところに泊まりたい。部屋見なくていいよ。」
って言ったけれど、
「見てチェックしてから考えてくださいね。」
と言われて部屋まで行く。

部屋へ行って値段を聞いたら高かったので、好都合だと思い、
「この部屋で700ルピーは高すぎる!サンキュー!バイバイ~」
と一目散に自分のタクシーへ戻った。

どうして、そんな逃げるようにタクシーへ乗り込んだのかわからない。

友人とドライバーが、宿の前で捕まっている。
多分、値段の交渉をしているのだろう。

なんとなく、危険な気がして、車を内側からロックする。

なかなか戻ってこない。

でも、「私、絶対に出ていかない。」と一人タクシー内で待つ。

と、友人とドライバーがこちらへ歩いてきた。
「500ルピーにするっていってますよ。どうしますか?」

私「泊まらない。
もっとクリーンな所に泊まります。」

と伝えてもらったけれど、

友人たちに「日本人を説得しろ」と説得している様子がヒンディー語のはしばしから読み取れる。

「もー、いいから、最初の所に戻って!!!
100ルピーだとしても、泊まりたくないの!!」

と客として怒り、ドライバーを運転席に戻して車を出してもらう。

「泊まらなかったら、追いかけて殺されるんじゃないかな?」
「友人とドライバーは、日本人客を逃がしたといって、何かされるんじゃないかな?」

そのくらい、不吉な感じがしていた。

友人にそれを話すと、「大丈夫ですよ」と言っていたけれど、
落ち着かない。

初めのバンガローへ戻ると、マシな方の部屋が空いているとのこと。

1000ルピーは私の予算の倍だし、その割に綺麗じゃない部屋だけれど、もうここでいい。
これ以上出歩きたくない。

と、荷物を置いてトイレなどを済ませて、9時前にご飯をすませようと急いでレストランへ向かおうとしたら、

バンガローの主人と友人とドライバーが何やら深刻そうに声を潜めて談義してる。
「何?」
と聞くと、

先ほど私が見たゲストハウスと、今もこのバンガローの門前で睨みをきかせてるガイドは、とても評判が悪く、

あそこに泊まるのはとても危ない。
泊まって、悪いことをされなくて本当に良かった。

という。

バンガローの主人が、知り合いの地元ガイド達に、その悪徳ガイドを監視させるように連絡してくれたらしく
(気にしといてくれ、という程度の伝言だと思うけれど)

あっちにあるホテルの中のレストランなら、車もホテルの中に止められるから

と勧められて、そちらへいった。

レストランまで来るとようやくホッとして、美味しいカレーを食べてた。

友人ガイドがレストランの人達に、この町の情報を色々と聞く。

ガイド同士、お互いに協力して信頼できる場所に客を紹介し合うのだ。
例え町が離れていても、「あの町へ行くなら、どこどこのゲストハウスがいいよ」などと。

なので、友人ガイドには裏話もたくさん入ってくる。

やっぱり、先ほどの宿は危険な場所だったらしい。

「だから言ったじゃん!私は、あのゲストハウス変だと思った!!」

というと、

「あなた、すごいですね。なんでわかったんですか?
普通のゲストハウスでしたよ?」

と友人がいう。

いつも、その妙な勘でインドの危険を除けながら歩いてるんだ、

とは説明できなかった(笑)

でも、それだけじゃない。

思い返してみれば、私はこの町が大嫌いだったのだ。

ヴァイシャーリーという地に拒絶されていた。

私自身もこの地を拒絶していた。

その理由に、一ヶ月たって気付いた。

拒絶して当たり前だし、拒絶されて当たり前だった。
過去からの因縁。

続きます・・・。